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デーライトなスナップ

2020年 03月 16日 ( 1 )

麒麟川島さんのこと

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もうかなり昔のことなので、ここで書いても大丈夫かと思います。
僕がこのブログを始めるよりずっと前、アシスタント2年目の半ば頃の話。

覚悟してはいたけど、広告写真スタジオのアシスタント業務、っていうもののしんどさと、
自分が独立する頃には景気がもっと悪くなってるかも、そしたら独立しても全然儲からんかも、
っていう割と絶望的な気分が年中蔓延してる、劇的に暗くて卑屈な人間でした。

労働時間の長さと、あってないような給料で、奢ってもらえるとき以外はほぼ飲みに行かない、
彼女欲しいけど積極的になれない、っていう情けない状態が続いてました。

たまに誰かが女性を紹介してくれても、1,2回ご飯を食べに行って、「将来は主婦になりたい」、
とか言われたらどうしよう、とか、今の俺のほんまの姿がどれだけカッコ悪いか、
できれば知られたくない、とか、そういう気持ちが強くて、結局デートにも誘えなくなる始末でした。

楽しみといえば、もともとお笑い好きやったので、帰宅後深夜に焼酎のアテに観る深夜のバラエティーとか、
ネタ番組でした。

当時若手やった麒麟さんはオンエアバトルとかのネタ番組でかなり目立っていたので、
「めっちゃ面白いなぁ、すごいなぁ、へぇ俺より年下なんや」とか、年功序列にまみれて、
惨めな気分の自分に浸りながら、若干嫉妬しながら、でも漫才を見て笑わせてもらえる、
とにかくよく見かける面白い芸人さんでした。


ある日、うちの師匠に麒麟さんを撮影する依頼があって、NGKの控え室でセットを組んで撮影させていただきました。
もちろん自分はアシスタントとしてセットを組んでフィルムの番記、撮影メモを撮って、ポラを引いて、
後は隅っこでひっそりしてました。

タレントさんの撮影っていうのは当たり前ですが、アシスタントは立場的には立ち位置を指定する時以外、
ほぼ口を聞くことはないので、その日もつつがなく撮影を終わってお二人ともすっと出て行かれるかと思ってました。

お二人ともとても礼儀正しく、劇場の合間の忙しい時間に、雑誌1ページのインタビューにも全力で臨んでいただき、
若手だからではなく、根本的にとても良い方々なのは良く分かりましたが、もっと衝撃やったのは、
撮影後に川島さんに話しかけられたことでした。

話しかけられた内容は他愛のないもので、ポラロイドを見せてください、よくこんな場所でこれだけ綺麗に撮れますね、
やっぱりセット組むの大変ですか、などなど、やったと思います。
ただ、それが忘れられないのは、当時の惨めで仕方なかった自分にとって、テレビで見かけるようになった、
しかもすごく面白い芸人さんが、話しかけたところで何のメリットもない隅っこに控えているアシスタントに、
わざわざ会話をしに来てくれた、っていう感動があったからです。

その後独立してから今までに撮らせていただいた、どの芸能人の方より、まともにお話をさせていただいた方でした。


先日先輩のカメラマンに晩御飯に誘っていただいて、酔っ払いながらその話をすると、先輩もしみじみ、
「それはほんま、ええ人やねぇ」っておっしゃってました。
先輩もだいぶ酔われてました。(笑)

川島さんがそんな小さい出来事を覚えておられる訳がないと思いますが、その後もどんどんテレビに出られるようになり、
今のご活躍を拝見してると、こういう方が売れるっていうのは素晴らしいなぁって思います。

こっちが勝手に感謝しているだけですが、当時救われた、っていう、多分一生忘れられない思い出です。

ブログ上で、勤めていたスタジオの悪口になるようなことをあまり書きたくなかったのですが、
そういう背景があって川島さんに感動させられた、って書いても良い時期かなぁって思ったもので。

15年以上も前の話でした。








by iidacamera | 2020-03-16 11:26 | 日々 | Comments(4)