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デーライトなスナップ

日常の澱#24

一昨年、自営業生活がどん底に突き落とされてしまうような不景気に見舞われて以来、どうあがいても苦しい時期が続いて、
特に春秋の竣工撮影ラッシュの合間の閑散期に、建築以外の仕事が全然なくて、まあ一人親方みたいなもんやし、
なんとか食いつなごう、っていう状態やった。

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それでも一昨年と比べれば昨年はものすごくジワっとではあるものの、仕事量が回復はしていた。

今年も竣工撮影のピークが過ぎたあとはある程度覚悟してたけど、まさかの大忙し。
通常は年間で3番目くらいにヒマなはずの7月はスケジュールがギューギュー。



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さすがに独立して12年目にもなると、嬉しい悲鳴ではあるものの調子には乗れんくなった。
一昨年のクライアントの倒産とか事業縮小とかの理由で一気に撮影がなくなった経験のおかげで、「たまたまやから」、
って自分にずぅっと言い聞かせとります。


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ただ、それとはまったく別の次元の話やけど、この10年間でデジタルがすっかり行き渡って、
広告カメラマンも華やかに儲かる時代がとっくに終わって、写真のクオリティへの意識が発注側も撮影者側も、
少し低くなっているように思えます。

「予算を抑えたいから」、「好きなようにやりたいから」っていう理由で、プロカメラマンを使わず、
デザイナー自身が撮影してるって話は頻繁に聞くようになった。

カメラマン自身も、現場で確認しながらお客さんが納得できる到達点を最終目標にしがちで、
それ以上は時間や予算を考えて、無理に頑張ることがなくなったように思う。
これは偉そうに言ってるわけじゃなくて、自分も反省するべき点やと思う。

広告カメラマンは昔のように儲かる仕事ではない分、アシスタントを使わない、アシスタントが食えない、
カメラマンを目指す若者が育たない、っていう負の連鎖が続いてる。
知り合いのカメラマンのスタジオも新たにアシスタントを雇うのに、自分が10数年前に、
アシスタントをしていた時の給料の倍近くを出してやっと一人来てくれた、って状態らしい。

まぁ自分の場合は給料がちょっと引くくらいの額面やったので、比較の対象にはならんかもしれんけど。



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そういう世の中に、広告撮影を主な業務にする自分がどうやって対峙していったらいいのか、っていうことは、
真剣に考えた方が良いと思う。

一つの写真を仕上げるのに、方法は何通りもあるわけやけど、過程はせっかくの一人親方やし、
自分の好きなようにすればいいわけで、仕上がりに関しては一定以上のクオリティを、
確実に出し続けられるように取り組んでいかないと、単価の良い仕事を続けていただくことは不可能。
自分自身の人間性ももちろんあるので、40歳以降もやっぱり直すべき性格はいっぱいある。(笑)

当たり前のことではあるし、クオリティの話なんかはもうこの仕事の根本やから今更な訳やけど、
どうも写真撮影の技術が機材の進化で変化していくにしたがって、自分自身忘れがちになってる。

性格の方はもう自分を怒って下さる方もほとんどいないので、気長に自分で矯正するしかない。

写真に関してもお客さんで面と向かって自分に不満をおっしゃるかたがほとんどおられないので、
より自分自身で厳しくしていくしかない。
だからこそ良いものを提供できるような技術・機材と自分自身の撮影以外の面での対応力が必要な訳で、
これからの目標はハッキリしてる。

要は日々精進、もう一回褌締め直しましょう、って話で、40歳の決意表明みたいなもんでした。





by iidacamera | 2017-07-24 01:24 | 日常の澱 | Comments(2)
Commented by bonyaly at 2017-07-25 08:36 x
今時は製造も流通も小売も
研究開発でさえも激変する環境の中で
明日が見えないような状況ですよね
僕もいろいろ考え込んじゃうことがあります

先日HDDに撮り溜めてあった中から映画「LIFE!」を見ました。
(真田広之の出演してるSFホラーではありませんw)
その中でしばしば用いられていた「Quintessence」という言葉が
ずっと耳の奥に残っています

写真のお仕事をされているidacameraさんは
写真マニアであり続ける限り
進む方向を見失うことはないのだろうなと思いました

1枚目の写真 なんか良いですね〜
Commented by iidacamera at 2017-07-25 22:37
> bonyalyさん

写真マニアというのは、僕自身にとっても広告カメラマンという職業にとっても、
最上の褒め言葉だと思います。
ありがとうございます。

LIFE!は観たい観たいと思いながらまだ観れてません。
あれ面白そうですよね~。

僕の現状がQuintessenceの和訳に当てはまるかどうかはわかりませんが、
僕たちの仕事は結局、つまるところは技術の向上以外ないと思います。
職人気質というよりは商売好きなカメラマンもたくさんおられますし、
そう言う方たちも素晴らしいとは思いますが、自分とは向いている方向が、
まったく違うと感じることも多いです。

顧客のニーズに応えるとか、現場の空気を読みながら仕事をするとか、
そういうのは当たりまえなんですが、その上でやっぱり可能な限り、
美しく撮影して、レタッチする、っていうのが一番の仕事ですね。

カメラマンがカメラマンとして分業の中で活かされて初めて、
大きな仕事に携われる、っていうこともつくづく実感中です。

1枚目の写真、ほろ酔いで帰宅中に見た光景なんですが、絵になりますよね。
男子二人女子一人、いいねぇってオッサン丸出しで眺めてました。
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